この記事のポイント

  • 略筮法・本筮法・梅花心易はどれも六十四卦を導くための「卦の立て方」の違いで、優劣ではなく向き不向きの違いです
  • 現代の易占いの現場でもっとも使われているのは、手順がシンプルな略筮法です
  • 本筮法は十八回もの操作をかける、いちばん格式の高い立卦法です
  • 梅花心易は筮竹などの道具を使わず、日付や数字から卦を立てられるのが特徴です
  • 六十四卦は「卦辞」「爻辞」「変爻」の順に見ていくと、自分でも意味を読み解けます

「易占いって当たるの?」と調べてみたら、「略筮法」「本筮法」「梅花心易」……聞き慣れない言葉がずらずら出てきて、結局どれを見ればいいのか分からなくなった。そんな経験、ありませんか?

サイトによって書いてあることが微妙に違って見えるのも、実はこの3つがそれぞれ別の「卦の立て方」だからなんですよね。優劣があるわけではなく、道具の有無やかける時間が違うだけ。この記事では、略筮法・本筮法・梅花心易の違いを手順のレベルまで整理したうえで、出てきた六十四卦を自分でどう読めばいいのかまでお伝えしていきます。読み終わるころには、易占いの結果を見てもモヤモヤしなくなっているはずです。

陰陽の線が導く六十四の物語

易占いとは?六十四卦で「今このとき」を読み解く占い

陰陽の線から広がる占いの世界観 陰陽の線から広がる占いの世界観

易占いとは、陰陽ふたつの記号の組み合わせでできた「六十四卦」を使い、質問に対する答えやアドバイスを読み取る中国発祥の占いのことです。儒教の基本経典のひとつ『易経(周易)』がベースになっていて、乾・兌・离・震・巽・坎・艮・坤という8つの基本図象「八卦」を上下に2つ重ねることで、64通りの組み合わせが生まれます(Wikipediaの解説による)。

陽は途切れない一本の線、陰は真ん中が切れた線で表され、これを下から6本重ねると1つの卦が完成します。それぞれの卦には「卦辞」という短い言葉が添えられていて、これが状況全体のテーマを示す手がかりになります。

面白いのは、易占いには「その場でどうやって卦を立てるか」という実占の技法がいくつもあることなんです。代表的なのが、これから見ていく略筮法・本筮法・梅花心易の3つ。同じ六十四卦にたどり着くにしても、道具もかける時間もまったく違います。

略筮法とは?現代の易占いで主流な「三変」の立て方

略筮法とは、筮竹を使って三回の操作(三変)だけで六十四卦を導き出す、もっとも簡略化された立卦法のことです。江戸時代の易学者・新井白蛾が『易学小筌』で広めたとされ、現在の易占いの現場でいちばん多く使われている方法だと言われています。

手順はこんな流れです。50本ある筮竹のうち1本を除いた49本を使い、二つに分けて8本ずつ数える作業を2回繰り返して、内卦(下半分)と外卦(上半分)を決めます。そのあと6本ずつ数えて出た余りの数(1〜6)で、どの爻が変わるか(変爻の位置)を決定します。1なら初爻、2なら二爻……6なら上爻、という具合です。

ここで大事な特徴があります。略筮法では、必ずどこか1本の爻が変わる——つまり変爻が必ず1つ出るんです。これは次に紹介する本筮法との大きな違いになります。対面鑑定や電話鑑定で「今すぐ答えが欲しい」というときに向いているのは、この手順の少なさゆえだと思います。

本筮法とは?十八変にかける、易占いでいちばん格式高い型

本筮法とは、『易経』繋辞上伝の記述をもとに南宋時代の朱熹が体系化したとされる、十八回もの操作(十八変)を経て六十四卦を導く、易占いのもっとも本格的な立卦法です。3回の操作で1本の爻を決め、それを6回繰り返す(3×6=18変)ため、卦をひとつ立てるだけでも略筮法よりずっと時間と集中力が必要になります。

本筮法(およびその中間にあたる中筮法)では、変爻が複数出ることもあれば、まったく出ないこともあります。ここが略筮法と決定的に違うところ。変爻が多い卦は状況の変化が大きいことを、変爻がない卦は状況が安定していることを示す、と説明されることが一般的です。

時間がかかりすぎて集中力を保つのが難しいという事情もあり、現在ではあまり行われていない、とも言われています。もし易者さんに「本筮法で立てました」と言われることがあったら、それだけ丁寧に時間をかけて向き合ってもらった、ということなんですよね。

梅花心易とは?道具を使わず数字と直感で占う方法

時計の数字から生まれる直感の卦 時計の数字から生まれる直感の卦

梅花心易とは、筮竹などの道具を使わず、日付・時刻・目にした数字といった身の回りの出来事を数値化して六十四卦を立てる易占いの技法です。中国北宋時代(11世紀)に完成したとされ、儒学者の邵雍が説いたと伝えられています。

占いたい瞬間に目や耳に飛び込んできた数——時刻や物の数、音の回数など(「占機」と呼ばれます)をもとに計算し、上卦・下卦・変爻を導き出します。さらに独特なのが、動かない側の卦を「体卦」、動く側を「用卦」と呼び、この2つの関係(五行的に生じ合うか、打ち消し合うか)を見て吉凶やタイミングを読む、という組み立てになっている点です。

道具がいらないぶん、思い立った瞬間にすぐ占える手軽さがあります。「行くべきかどうか」といったYES/NOの問いにも対応できるオールマイティさがある、とされています。ただ正直なところ、体卦・用卦の関係を正しく読むには五行の生剋の知識が必要になるので、独学のハードルはやや高めかもしれません。

【事例(フィクション)】

30代の会社員Bさんは、今の職場に残るか転職するか決めかねていました。ある夜、ふと目に入った時計の数字をきっかけに自分で梅花心易を立ててみたところ、変爻の位置が「今は動くより整えるとき」と読める卦だったといいます。Bさんはすぐに転職活動を始めるのではなく、まず今の職場でやり残していることを整理する期間を作ることにした、とのことでした。

※この事例はフィクションであり、実在の人物や出来事とは関係ありません。

略筮法・本筮法・梅花心易の違いを一覧で比較する

3つの立卦法を並べて比べる概念図 図1: 3つの立卦法を並べて比べる概念図

略筮法・本筮法・梅花心易の違いは、使う道具・かかる時間・変爻の出方の3点に集約されます。表で整理するとこうなります。

技法名使う道具手順の複雑さ・時間変爻の出方向いている場面
略筮法筮竹(三変)短い・シンプル必ず1つ出る対面鑑定・可否をすぐ知りたいとき
本筮法筮竹(十八変)長い・高い集中力が必要複数出る/ゼロのこともある時間をかけてじっくり占う本格鑑定
梅花心易不要(時刻・数字など)短い・道具いらず起卦法により変わる(1つ出ることが多い)思い立った瞬間・日常的なYES/NO判断

こうして並べると、どれかが「本物」でどれかが「簡易版」というより、シーンに合わせて使い分けられている技法だということが見えてきます。当たる・当たらないで選ぶものではなく、今の自分にどれだけ時間と道具をかけられるかで選べばいいんじゃないかな、と思います。

六十四卦の読み方〜卦辞・爻辞・変爻をどう見ればいい?

卦辞→爻辞→之卦と読み進む3段階の流れ 図2: 卦辞→爻辞→之卦と読み進む3段階の流れ

六十四卦の読み方は、①卦全体の意味を示す「卦辞」→②変爻がある爻の意味を示す「爻辞」→③変爻によって変化したあとの卦「之卦」の順に見ていくのが基本です。

まず卦辞は、六十四卦それぞれに付けられた短い言葉で、今の状況全体がどんな性質か(発展期なのか、足踏みの時期なのか)を掴むための入り口になります。

次に爻辞。爻は下から初爻・二爻・三爻・四爻・五爻・上爻と数え、変爻(動いている線)の位置に対応する言葉が、状況に対する具体的なアドバイスになると一般的に説明されています。ここがいちばん実用的なメッセージだと言われる部分です。

最後に之卦。変爻が陰陽反転してできる別の卦のことで、これから状況がどう変化していくかのヒントとして読まれます。整理すると、こんな順番になります。

  1. 出た卦の卦辞を読み、全体のテーマをつかむ
  2. 変爻の位置を確認し、その爻辞を読む——ここがいちばん具体的なメッセージ
  3. 変爻がある場合は之卦も見て、この先の流れをイメージする
  4. 変爻がない、または複数ある場合(本筮法・梅花心易)は、卦辞全体のトーンを重視する

爻辞の言葉づかいが古めかしくて難しく感じることも多いんですよね。ここは無理に原文だけで読もうとせず、現代語訳が載っている書籍やサイトを併用するのがおすすめです。

【事例(フィクション)】

20代のCさんは、気になる相手との関係を進めるべきか迷い、自分で易占いを試してみました。出た卦の変爻が上爻の位置にあり、爻辞は「行き過ぎに注意」というニュアンスの内容だったそうです。Cさんはそれを見て、積極的に動くよりも、しばらく今のペースを保ちながら相手の反応を見ることに決めた、と話していました。

※この事例はフィクションであり、実在の人物や出来事とは関係ありません。

手順を踏んで自分で吉凶の手がかりを絞り込んでいくという意味では、六曜だけで日取りを決めていい?大安・仏滅に十二直と二十八宿を重ねて吉日を絞り込む手順や、四柱推命の「桃花・咸池」で自分のモテ期を調べる方法も、同じように「一定のルールに沿って自分で読み解く」タイプの占いです。興味があればあわせて見てみてくださいね。

よくある質問

Q:易占いは略筮法・本筮法・梅花心易のどれが一番当たりますか? どの技法も六十四卦を導く手順が違うだけで、当たりやすさに優劣があるとは言えません。略筮法は素早く、本筮法は丁寧に、梅花心易は道具なしで占えるというように、向いている場面が違うだけなので、目的に合わせて選ぶのがおすすめです。

Q:初心者は何から始めればいいですか? まずはコイン3枚を使う擲銭法や、易占いアプリで六十四卦を1つ出してみて、卦辞だけでも読んでみることから始めるとハードルが低いと思います。爻辞や之卦は、慣れてきてから少しずつ見ていけば十分です。

Q:変爻が出ない、または複数出たときはどう読めばいいですか? 本筮法や梅花心易では、変爻がない卦や複数出る卦もありえます。変爻がない場合は卦辞全体のトーンをそのまま状況として受け止め、複数出た場合は之卦との組み合わせで大きな変化の兆しとして読む、という考え方が一般的です。

Q:易占いと他の占い(タロットや四柱推命)の違いは何ですか? タロットが絵柄からイメージを広げる占いなのに対し、易占いは数と陰陽の理論に基づいて卦を導く、体系立った占いという違いがあります。四柱推命が生年月日から一生の運勢の傾向を見るのに対し、易占いは「今この瞬間」の問いに答えるための占いという性格が強い、と言われています。

Q:梅花心易は独学でも扱えますか? 起卦(卦を立てる)の手順自体はシンプルですが、体卦・用卦の関係を読み解くには五行の知識が必要になるため、独学の場合は入門書などで基礎を押さえてから進めるのがおすすめです。

まとめ

略筮法・本筮法・梅花心易は、六十四卦を導くための手順が違うだけで、どれも易占いという同じ土台の上にある技法です。略筮法は簡単・スピーディ、本筮法はじっくり本格的、梅花心易は道具なしで直感的——それぞれの持ち味を知っておくと、易占いの結果を見たときの理解がぐっと深まります。

最初から全部を完璧に使い分けようとしなくて大丈夫です。まずは略筮法か、コインを使った簡単な方法で卦を1つ立てて、卦辞だけでも読んでみる。そこから少しずつ爻辞や之卦へと視野を広げていけば十分だと思います。占いの答えをそのまま鵜呑みにするのではなく、自分の状況を見つめ直すきっかけとして活用していけたらいいですね。

六十四卦の意味を自分で読むのが難しいと感じたときは、ココナラの電話占いで無料クーポンを使いながら、占い師さんに一緒に読んでもらうのもひとつの方法です。