この記事のポイント

  • 変爻とは、易占いで出た卦の中で陰陽が入れ替わる爻のことで、今の状態から先の展開へ向かう「動き」を示します
  • 変爻が出る前の卦を本卦、変爻によって陰陽が反転してできる卦を之卦と呼びます
  • 変爻の数によって、本卦の卦辞を見るか爻辞を見るか、読み方のルールが変わります
  • 略筮法・本筮法・梅花心易では、変爻の出方や重視の仕方に違いがあります
  • 変爻の意味が掴みにくいときは、本卦を「今」、之卦を「これから」と捉えると整理しやすくなります

サイコロやコインを使って卦を立ててみたら、爻の一本だけ様子が違う――そんな結果が出て、「これ、どう読めばいいんだろう」と手が止まってしまったこと、ありませんか?

その「様子が違う爻」こそが変爻です。易占いは、卦さえ出せれば終わりではありません。むしろそこからが本番で、変爻が入っているかどうかで読み方がまるで変わってきます。この記事では、変爻とは何か、本卦と之卦の関係をどう読み解くか、そして変爻の数ごとに変わる伝統的なルールまで、手順に沿って整理していきます。読み終える頃には、卦を立てたあとの「次にどうする?」がクリアになっているはずです。

静かな卦が動き出す、変化の兆しを描く一枚

変爻とは?之卦との関係でわかること

静止した形が揺らぎ変わる瞬間のイメージ 静止した形が揺らぎ変わる瞬間のイメージ

変爻とは、易占いで得た卦のうち、陰陽が入れ替わる性質を持つ爻のことです。卦は陰陽それぞれの記号が6段積み重なった形をしていますが、コインや筮竹で占う過程で「老陽」「老陰」という、これから反転する運命にある爻が出ることがあります。この老陽・老陰にあたる爻が変爻です。

変爻がひとつも出なければ、卦はそのままの姿で状況を表します。けれど変爻が出た場合、その爻の陰陽をひっくり返した先に、もうひとつ別の卦が浮かび上がってきます。これが之卦(しか、または「いたるか」とも読まれます)です。つまり変爻は、静止画だった卦に「時間の流れ」を持ち込む装置のようなもの。今の状態がこのまま続くわけではなく、変化の途中にあることを示しているんですね。

ちょっと面白いのは、変爻がまったく出ない卦も、それはそれで意味を持つという点です。変化のない卦は「今のこの状態がしばらく安定して続く」ことを表すとされていて、動きがないこと自体がひとつの答えになります。変爻が出た・出ないの両方に意味がある、というのが易占いの懐の深いところだと思います。

本卦と之卦の違い〜「今」と「これから」を表す2つの卦

本卦から之卦へ、変わる一本を示す対応図 図1: 本卦から之卦へ、変わる一本を示す対応図

本卦とは変爻が出る前の、最初に得られた卦のことです。之卦とは、その変爻の陰陽を反転させてできる、変化した後の卦を指します。この2つはセットで読むことで、はじめて「時間軸のある占断」になります。

イメージとしては、本卦が「現在地」、之卦が「向かっている方向」だと考えると分かりやすいと思います。たとえば本卦が慎重さや足踏みを示す卦で、之卦が前進や決断を示す卦だったとします。この場合、「今はまだ慎重にならざるを得ない状況だけれど、状況が動けば決断や前進の局面に移っていく」という流れとして読むわけです。

ここで大事なのは、之卦を「本卦より良い結果」「本卦より悪い結果」と単純に優劣で見ないことです。之卦はあくまで変化の方向性を示すもので、良し悪しの採点表ではありません。本卦の卦辞(卦全体の意味)でまず今の立ち位置を掴み、変爻の爻辞(その爻固有の言葉)で具体的な助言を受け取り、之卦でその先の流れを見る——この3段階を意識すると、易占いの読みがぐっと立体的になります。

【事例(フィクション)】

30代のBさんは、10年近く勤めた会社を辞めるべきか迷い続けていました。転職への焦りと「今の職場に慣れすぎているだけかもしれない」という迷いが交錯し、自分の気持ちがどちらに向いているのか分からなくなっていたそうです。易占いで卦を立てたところ、本卦は「今はまだ機が熟していない」ことを示す卦で、そこに変爻がひとつ含まれていました。之卦は「動き出す時期が近い」ことを示す卦だったといいます。Bさんはこの結果を、今すぐの結論ではなく「今は情報収集の時期、動くタイミングはこれから来る」というメッセージとして受け止め、焦って結論を出すのをいったんやめる決心をしたということです。

※この事例はフィクションであり、実在の人物や出来事とは関係ありません。

変爻の数で読み方が変わる〜一爻変から六爻変までのルール

変爻の本数と読む場所を示す段階フロー図 図2: 変爻の本数と読む場所を示す段階フロー図

変爻の数によって、本卦の卦辞を見るのか、爻辞を見るのか、之卦を見るのか、読み方のルールが変わります。これは易経の解釈書である『易学啓蒙』などで整理されてきた、伝統的な読み方の基準です。

意外と知られていないのですが、変爻が1本だけのときと、2本、3本と増えていくときとでは、そもそも「どの文章を読むべきか」が違います。これを知らずに全部の爻辞を漠然と眺めてしまうと、情報が多すぎて逆に混乱しやすいんですよね。目安は次の表の通りです。

変爻の数主に読む部分
0本(変爻なし)本卦の卦辞のみ。今の状態が安定して続くと読む
1本その変爻の爻辞を中心に読む
2本上の変爻の爻辞を主、下の変爻の爻辞を従として読む(本卦の卦辞を優先する考え方もある)
3本本卦と之卦、両方の卦辞を合わせて読む
4本之卦のうち、変化していない2本の爻辞を読む(下の爻を主とする)
5本之卦のうち、変化していない1本の爻辞を読む
6本(すべて変わる)之卦の卦辞を読む。ただし乾為天・坤為地の卦だけは特別な言葉(用九・用六)が用いられる

複数の変爻が出たときの扱いについては、実は流派によって細かな違いがあります。「変爻が2本以上あるときは本卦の卦辞を見るのが妥当」という古典的な考え方もあれば、朱子が示したとされる「変爻の爻辞も併せて見る」という方法もあり、どちらか一方だけが正解というわけではないようです。もし独学で迷ったら、まずは表の基本ルールに沿って読み、慣れてきたら本卦の卦辞も参考程度に添える、というくらいの気持ちで十分だと思います。

変爻がひとつも出ないとき・六爻すべて変わるときはどう読む?

変爻がゼロ本のときは本卦の卦辞だけで判断し、6本すべてが変わるときは之卦の卦辞を中心に読みます。この両極端なケースは、間の変爻の数のときとは少し性質が違うので、それぞれ押さえておくと安心です。

変爻がまったく出ない卦は、「今の状態にまだ動きが訪れていない」ことを表すとされます。何も起きていないように感じても、それ自体が「今は動く時期ではない」という答えになるわけです。焦って別の解釈を探しにいく必要はなく、むしろ卦辞が示す今の状況の意味をじっくり読み込む時間だと捉えるとよいと思います。

一方、6本すべてが変わってしまう「全爻変」は珍しいケースですが、起きたときは之卦の卦辞をそのまま読みます。ただし例外がひとつあります。六十四卦の最初に置かれる乾為天と坤為地の2卦だけは、通常の爻辞とは別に「用九」「用六」という特別な言葉が用意されていて、六爻すべてが老陽・老陰になったときはそちらを参照する、という伝統的な決まりがあります。すべての初心者が覚える必要はありませんが、「乾為天・坤為地だけ特別扱いがある」と知っておくと、専門書を読むときのつまずきがひとつ減るはずです。

略筮法・本筮法・梅花心易で変爻の扱いはどう違う?

三つの占法の違いを並べた比較図 図3: 三つの占法の違いを並べた比較図

略筮法・本筮法・梅花心易は、いずれも変爻という考え方自体は共有しつつ、卦の立て方と変爻の出やすさが異なります。本筮法は50本の筮竹を用いる最も古典的で手間のかかる方法、略筮法はそれを簡略化してコインなどでも代用できる方法です。梅花心易は陰陽五行の考え方を強く取り入れ、数や時刻から卦を立てる、やや趣の違うアプローチとして知られています。

略筮法はコイン3枚を使う方法が広く紹介されていて、3枚とも表なら老陽、2枚が表なら少陽、2枚が裏なら少陰、3枚とも裏なら老陰、という組み合わせで陰陽と変爻の有無を決めます。手軽な分、変爻が出る確率や出方の感覚を掴みやすいのが特徴です。本筮法はより複雑な計算過程を経るため、変爻の出方にも古典的な重みづけがされていると言われています。梅花心易はそもそも卦の立て方の発想が違うので、変爻よりも五行の生剋(相性・相剋の関係)を重視して読むことが多いようです。

このあたりの卦の立て方そのものの違いについては、易占いの略筮・本筮・梅花心易の違い〜卦の立て方と六十四卦を自分で読む手順〜で詳しく整理しているので、「そもそも卦をどう立てるか」から知りたい方はあわせて読んでみてください。どの方法を選んでも、変爻が出たあとの読み方の基本は今回ご紹介した内容と共通しています。

【事例(フィクション)】

40代会社員のCさんは、長年付き合ってきたパートナーとの結婚について答えが出せずにいました。周囲からのプレッシャーもあり、自分の本音が分からなくなっていたそうです。略筮法で卦を立てたところ、変爻が2本含まれる卦が出て、本卦は「内に迷いを抱えたまま進む」ことを示す内容、之卦は「関係が新しい段階に落ち着く」ことを示す内容だったといいます。Cさんはこの結果を「今の迷いは通過点であって、結論そのものではない」と受け止め、パートナーに自分の気持ちを正直に話す時間を持つことにしたそうです。

※この事例はフィクションであり、実在の人物や出来事とは関係ありません。

変爻を読むときによくあるつまずきと考え方のコツ

絡まった糸がほどけていくような気づきの情景 絡まった糸がほどけていくような気づきの情景

変爻を読むときに一番つまずきやすいのは、之卦を「もうひとつの未来予言」だと思い込んでしまうことです。之卦は確定した未来ではなく、今の状態からどちらの方向に流れが向きやすいかを示す参考情報だと捉えるのが安全です。

もうひとつよくあるのが、変爻の数が多いほど「大きな変化」「重大な意味」だと勘違いしてしまうケースです。表で見た通り、変爻が3本や4本と増えると、むしろ個々の爻辞ではなく卦辞全体で大づかみに読むフェーズに移ります。数が多い=情報量が多い、ではなく、数が多い=より俯瞰した視点で読む、という発想の切り替えが必要なんですね。ここ、つまずきやすいポイントだと思います。

あと、変爻の意味を「良い変化」か「悪い変化」かで白黒つけようとしすぎるのも、易占いの本来の使い方からは少し外れてしまいます。易経の言葉はもともと、断定した予言ではなく、状況を多面的に捉えるための手がかりとして書かれてきたものです。之卦が示す方向性を「絶対にこうなる」と受け取るのではなく、「こういう可能性も視野に入れておこう」というくらいの距離感で付き合うのが、心の整理としてはちょうどいいのではないかと思います。

よくある質問

Q:変爻が出ないときは占いが不発ということですか? いいえ、変爻が出ないのも立派な結果のひとつです。今の状態にまだ大きな動きが訪れていない、あるいは今の状況がしばらく安定して続くという意味に読み替えることができます。

Q:変爻の数が多いほど大きな出来事が起きるということですか? 必ずしもそうとは言えません。変爻の数はどの部分(爻辞か卦辞か)を中心に読むかというルールに関わるもので、数の多さがそのまま出来事の大きさを表すわけではないとされています。

Q:本卦と之卦、どちらを重視すればいいですか? 一般的には本卦で今の状況を、之卦でこれからの方向性を確認する、という役割分担で読みます。どちらか一方だけを見るのではなく、両方を合わせて流れとして捉えるのがおすすめです。

Q:初心者でも変爻を自分で読めるようになりますか? 変爻の数ごとの基本ルールさえ押さえれば、独学でも読み進めることは十分可能です。最初は表を見ながらでも構わないので、少しずつ卦辞と爻辞の言葉に慣れていくとよいと思います。

Q:略筮法と本筮法で変爻の意味そのものは変わりますか? 変爻という概念自体は共通していて、変わるのは卦の立て方や手間のかけ方の部分です。どちらの方法で卦を立てても、変爻が出たあとの読み方の基本は同じだと考えて差し支えありません。

まとめ

変爻は、易占いの卦に「時間の流れ」と「変化の兆し」を持ち込んでくれる、とても興味深い仕組みです。本卦を今の立ち位置、之卦をこれから向かう方向として捉え、変爻の数に応じたルールで卦辞・爻辞を読み分けていく——この手順さえ掴めれば、卦を立てたあとに「これ、どう読めばいいんだろう」と手が止まることは減っていくはずです。

とはいえ、変爻や之卦の解釈は奥が深く、自分ひとりで読み切るのが難しいと感じる場面もあると思います。そんなときは、易占いを扱う占い師に相談してみるのもひとつの手です。電話占いであれば自宅から気軽に相談できますし、料金体系を事前に比べておくと安心して利用しやすくなります。気になる方は電話占いの安いサイトを比べるなら見るべき5項目〜1分あたりの料金・無料分・指名料・通話料・キャンペーン〜も参考にしてみてくださいね。

易占いは、答えを断定するための道具ではなく、今の自分の状況を整理し、次の一歩を考えるための手がかりです。変爻が示す「変化の途中」というメッセージを、焦らず、じっくり味わってみてください。